コンサルティング実績
業務の洗い出しを徹底的に実施
自力でグループ会社からの業務を獲得
株式会社あなぶきパートナー九州
マネージャー 上田紘子様
あなぶきハウジンググループの特例子会社として、2014年に設立されましたが、障がい者雇用を推進するにあたって、3つの課題がありました。
1)オフィスが手狭になった場合でも、コストの関係上、移転などは難しい。
2)応募者を増やすためにも、障がい種別に関わらず採用していきたい。
3)働き方の多様化という時代にあわせた対応をしていかなくてはならない。
それらの課題を解決するために、テレワークの導入を検討していた頃、福岡県が「テレワークによる障がい者雇用促進サポートモデル事業」(2019年度)を実施すると知り、参加しました。
テレワーク導入を検討していた時に、一番悩んでいたことは、「どのような業務をしてもらうか」という点でした。
実際、雇用する障がい者の業務設計が一番大切だということを知り、まず業務の洗い出しをすることになりました。
はじめは、テレワークでできそうな業務だけをピックアップすればよいと考えていたのですが、全業務を洗い出すと言われ、驚きました。
導入プロジェクトの担当社員が1人だったため、かなりきつい作業となりましたが、とにかく全業務の洗い出しをしました。
その結果、当初想定していた業務以外にも、テレワークでできる業務があることに気付きました。
また、洗い出しをする過程で、オフィスで実施すべき業務、テレワークでできる業務、オフィスとテレワークの連携で効率化できる業務があるといったことも分かりました。
オフィスとテレワークをうまく連携することで、従来のやり方よりも効率化できた業務もあります。
この業務設計を自分たちの手で実行したことで、事業終了後は、自分たちからグループ会社に働きかけ、積極的に業務提案ができるようになりました。
テレワークで働く社員も増えましたが、実際の業務の獲得にもつながっています。
また、業務の幅も広がり、入社当初からのスキルアップになる業務ができたことも、社員たちのモチベーションになると考えています。
テレワーク雇用に関しては、参加した2019年度事業で1名の採用を決定し、2020年2月から始まりました。
採用した社員は、就労経験がないこともあり、業務内容だけでなく、会社で働くということ自体にも不安があるだろうと考え、コミュニケーションに重点をおきました。
業務中は、オフィスとテレワーク社員の自宅を常時Web会議ツールのZoomでつないでおき、いつでも会話やチャットができるようにしました。
当初は、声かけになるべく抵抗を感じさせないために、オフィス側でやりとりをする社員を1名に固定しました。
3か月目から、同じ業務をする複数の社員とのやりとりに移行した結果、スムーズに誰とでも自然にコミュニケーションを取れるようになったようです。
今では、先輩となって、後から入ってきたテレワーク社員に対して、業務のレクチャーをしたり、アドバイスをしたり、頼もしい存在になっています。
テレワーク雇用をしたことで、課題であったオフィス拡張はクリアできましたし、これまで雇用できなかった人たちにも働いてもらえるようになりました。
働き方の多様化も実現でき、企業としてのイメージ向上にもつながったと捉えています。
また、テレワークを導入していたことが、コロナ禍になった際には、効果的でした。
オフィスに通勤している社員の一部から、「通勤が難しい」という声があがりましたが、そうした社員をすぐにテレワークに切り替えることが可能だったのです。
現在テレワークで働いている社員を見ていると、テレワークでなければ働けない、テレワークだからこそ継続して働ける、そういう人たちがいるということを実感しています。
これからも、テレワークでの雇用を続けていき、テレワークで働く社員とオフィスで働く社員が同じくらいになることを目指しています。
コンサルタントのひとこと
お忙しい担当者が、通常業務をこなしながらの業務の洗い出しは、負担がかかるプロセスです。この大変さを乗り越えると、業務の流れが可視化され、課題が見つかり、テレワークで業務をできるようにするための改善策も見えてきます。
あなぶきパートナー九州様は、この業務の洗い出し~改善にしっかり取り組んでいただきました。その結果、テレワークで雇用できただけでなく、特例子会社としてグループ会社に対しての業務の提案がやりやすくなるというメリットも出るようになりました。(倉持)
初めての障がい者雇用と完全在宅勤務雇用で
経営課題の人材確保と生産性向上を達成
価値住宅株式会社
代表取締役 高橋正典様
テレワークによる障がい者雇用の原点は、「不動産業界を変えていこう」という思いです。
人口減少が進み、空き家が増えていく一方、新築物件が増え続けている状況に疑問を持っていました。
中古住宅流通の活性化や空き家の有効活用事業に力を入れていく中で、障がい者の生活の場として空き家を利用することや、働く場として自社での障がい者雇用を考えるようになったのです。
企業としての経営課題としても直面している大きな課題が2点ありました。
1)募集をしても、なかなか応募者が増えない。人材を確保したい。
2)少数精鋭の組織にしたい。生産性をもっと向上させたい。
こうした課題を解決するために、テレワークを導入して障がい者雇用を推進し、人材を確保するとともに、社内の生産性向上も目指すことにしました。
社内でテレワークによる障がい者雇用をする際に、懸念したのは社員の反応です。
障がい者と接したことがある社員はほんの数名で、ともに働くことができるかという不安がありました。
そこで、障がい者を在宅雇用している企業を視察したり、研修に参加したり、合同面談会にも参加しました。
これらの機会を通じて、実際に多くの障がい者の方々と接しました。
働きたいという意欲を持ちながら、なかなか就職の機会が得られない人たちがいるということを知り、障がい者雇用の意義を感じることができました。
東京での合同面談会の後、北海道旭川市で開催された合同説明会に参加した時には、その中から応募してきた人を採用しようという気持ちになったのです。
社内における取組についても、社員同士の協力体制が強くなり、ツールの選定やシステムの整備、就業規則やルール作りといったことに、それぞれが積極的に取り組むようになりました。
一通り準備ができた段階で、既存社員でテレワークのトライアルを実施しました。
業務については、当初から、不動産チラシに掲載する間取り図の作成や写真の補正、ホームページにある物件情報の入力を想定していました。
慣れてきたら、新事業として考えているバーチャルリアリティのコンテンツの作成や編集なども担当してもらうつもりでした。
業務初日から完全在宅雇用でしたが、間取り図の作成についても、オンラインでのやりとりを通じて問題なく習得しました。
今では、バーチャルリアリティのコンテンツ作成も行っています。
また、間取り図業務を一人に集中させたことが、会社としての生産性向上にもつながったことを実感しています。
それまで間取り図は、各社員が、担当する物件の間取り図を自分で作成していたのですが、それがなくなったため、営業活動により専念できるようになったのです。
コミュニケーションについては、その大切さを指摘されていたので、当初から、本社と支店、在宅勤務社員とは、Web会議ツールを常時接続しておくようにしました。
パソコンを見れば、オフィスの様子が分かる、といった状態にしています。
また、業務の時だけでなく、忘年会などのイベントの際もWeb会議ツールを接続し、参加できるようにしています。
障がい者雇用の義務がある規模ではないですし、障がい者雇用も、完全在宅勤務の雇用も、両方とも初めてでしたが、非常にうまくいっています。
経営課題だった人材確保と生産性向上の2点でも効果を発揮しています。
最初の雇用は、旭川市が開催した面談会に参加したことがきっかけだったので、そのご縁を大切に、二人目も旭川から採用しました。
二人が継続して働いているので、今度は違う地域にも広げようと、三人目は、大分県から採用しました。
三人目の場合、採用決定までの選考はすべてオンラインで実施しました。
通常業務でも完全在宅勤務です。
それでも、実際に会うことも重要だと考えていて、入社後、同じチームで働く社員を連れて、現地に会いに行きました。
実際に会って話をすることで、お互いの理解がより深まり、それが仕事やチームワークにもつながっていると感じています。
コンサルタントのひとこと
「社長が方針を打ち出したとしても、実際に一緒に仕事をするのは社員。社員たちが納得して取り組んでくれるだろうか。」社長が最も懸念していたことでした。多くの障がい者に接する機会を作ることを提案し、その成果が出て懸念が払しょくされました。
その後、社員の皆さんが積極的に動き出し、初の障がい者雇用が完全在宅テレワークでの採用となりました。
一人目に採用した人が活躍したことで、二人目、三人目の採用はコンサルタントの力を借りずに自走できている企業様です。
この取り組みによって、既存社員の離職率の低下や紹介採用の増加など、企業価値の向上にもつながりました。(倉持)